自然と人の和をモットーに養鶏と食育活動

<始めた動機>

岡山県で生まれ育った私は、1974(昭和49)年、関西電力に入社し、サラリーマン生活の傍ら1万メートル陸上競技の選手として全国実業団大会に出場していました。選手生活の中で「トレーニングだけでは、身体のバランスが崩れる。食事の際の栄養バランスが大切」と実感し、自炊での栄養管理を目的として79年に料理学校に通い始めました。3年間先生の指導を受け、各種学校家庭料理教員資格を取得することができ、今でこそ当たり前となった食育に目覚め始めた私は、定年後に料理学校で学んだことを生かしたいと思っていました。
それから約20年後、県内の養鶏家が「ニワトリさん、ごめんね。毎日ありがとうと感謝の気持ちで卵を拾う」という雑誌記事を偶然見つけました。当時、私は小学校のPTA会長などを務め子供の健全育成に携わっており「まったくそのとおり、鶏のおかげで卵が食べられる。子供たちにも卵拾いを体験してもらえば、きっと生き物や物を大切にする気持ちが育っていくだろう」と思いました。
そこで、養鶏と食育を兼ねた仕事ができないかと考えるようになり、2000(平成12)年、県内の平飼いの養鶏家を家族で訪ね、会社勤めの傍ら鶏を50羽飼い始めました。近所の人から卵を分けてほしいと言われ販売したところ、好評で自然養鶏に手ごたえを感じ、また義父から「実は鶏を平飼いするのが夢だった」と聞き、01年、45歳の時に会社の選択定年制度を利用して退職しました。
そして”自然と人の和”をモットーに、元気な鶏を育て、地域の皆さんの健康や食育に役立ちたいと、「ささえたまご農園」をつくりました。